米国公認会計士は、米国各州が認定する公認会計士資格であり、日本においては一般的にUS CPA(Certified Public Accountant)と呼ばれています。日本の公認会計士の多くが大手監査法人(Big4)での監査業務を中心に活動していますが、米国では大企業や政府に所属して会計・財務・経営計画などの中核メンバーとして働いている者の割合が高いです。会計事務所で監査業務等に従事する者だけではなく、事業会社や官公庁の経営職として最高財務責任者(CFO)、さらには最高経営責任者(CEO)といったポストに就く者も多くいます。
なお、大手監査法人(Big4)とは、Deloitte Touche Tohmatsu、Ernst & Young、PriceWaterhouse Coopers、KPMG の4大会計事務所を指します。
US CPAの受験には各受験州で個別に決められた会計及びビジネス関連科目の所要単位数が大学で取得または取得見込みであることが必要とされ、それぞれの有効単位数の認定は各州で行なわれます。試験はコンピュータベースで実施されており、受験者がプロメトリック・テストセンターへ受験を予約する必要があります。すべて英語で行われる試験のため、英語の読み書きができなければ取得は困難です。
THE NASBA REPORTによれば、米国人を除く2014年の受験者数は、日本人が最も多いのですが、平均科目合格率は32.8%となっています。〔表1〕
試験問題、採点、合格基準は全米で統一されており、各科目75点以上で合格とされています。試験科目は、FAR*、AUD*、REG*、BEC*の4科目ですが、有効期限を各科目18ヶ月とする科目合格制を採用しています。
コンピュータ試験であるため、短答式と論文式からなる日本の公認会計士試験と単純比較はできませんが、FAR=財務会計論、AUD=監査論、REG=租税法+企業法+民法、BEC=管理会計論+経営学+経済学+統計学といったところではないでしょうか。
*Financial Accounting & Reporting(企業財務会計及び公会計)
*Auditing & Attestation(監査及びアテステーション)
*Regulation(法規)
*Business Environment & Concepts(ビジネス環境及び概念)
米国公認会計士は以下の分野での役割を担うことが求められています。
・外資系企業やグローバルに活動を展開する企業における海外進出や合併、再編など、米国
の会計基準を使用するケース
・米国企業の対日投資及び日本進出に伴う二国間にまたがる会計コンサルティング業務
・監査法人、会計事務所、一般企業における国際会計基準関連業務や国際税務業務
〔表1〕THE NASBA REPORT