米国では、連邦政府と州政府の二つの政府が存在するために、所得税も、連邦政府と州政府へ別々に申告納付する義務があります。これは、個人でも法人でも同じことです。米国の居住者は、全ての総所得から、種々の控除を差し引いた課税所得に対する税金を連邦政府(IRS)に納付する義務があります。また、州政府にはその州で発生した所得に対して、州所得税を納付する義務があります。
現在、個人所得税納付の義務がない州は、アラスカ、フロリダ、ネバダ、サウスダコダ、テキサス、ワシントン、ワイオミングの7つの州となっています。また、ニューハンプシャーとテネシーの2州では、投資所得(例えばキャピタル・ゲイン)だけが課税対象になっています。その他の州は州所得税を申告納付する義務があります。
すべての所得には、当事者の居住地に関係なく連邦所得税が課せられます。州所得税がない州に居住していても同様です。州所得税や地方自治体所得税については、それぞれの税制によります。
一方、勤務州と居住州が異なる場合の所得税は、当事者本人が「居住者」であるか「非居住者」であるかを州財務省に申告する必要があります。
例えば、勤務地がニューヨーク州で居住地がニュージャージー州の場合、勤務地に対しては「非居住者」として給与所得を課税対象所得として申告し、居住州に対しては「居住者」として申告します。その際、居住州には、内国歳入庁(IRS)に申告した所得額を報告し、それと同時に、勤務州で納税した額を「他州税額控除」として申告することで控除を受けることになります。