米国税理士(US EA)の更新について

 米国税理士(EA)の登録には実務経験は不要ですが、登録後、3年毎の更新が義務付けられており、更新時にはForm 8554を提出しなければなりません。

 Form 8554の提出は、郵送による方法と、Pay.govによりクレジットカードやデビットカードを使用して電子申告をする方法とがあります。

 米国税理士の更新に際しては、申告書作成者番号(PTIN)を更新しておくことが前提となり、3年間で72時間(最低年間16時間)の継続教育(CPE)を受講するとともに、毎年2時間の倫理教育が必要になります。

 活動ステイタス(Active Enrolled Agent status)ではなく、非活動ステイタス(Inactive Enrolled Agent status)を選択することもできますが、米国で報酬を得て申告書を作成することはできず、更新にかかる費用はステイタスにかかわらず67ドルかかります。

 単位の取得の方法には、

①開催されているセミナーに参加する。
②米国・内国歳入庁(IRS)より認められた通信教育により単位を取得する。
といった方法がありますが、主に利用されているのが通信教育です。通信教育にはIRSが指定した業者(IRS-Approved Continuing Education Providers)を利用します。

 実務で一番使用するのは、米国税法の手引書(Publication)です。この手引書に沿って書類を作り、段取りを組まないといけません。指定された業者は様々で、金額や教育内容が異なるため、米国税法の手引書を利用できる教育かどうかは業者選択のポイントの一つになります。

 日本では、会社が年末調整で年間の総税額を見直し源泉徴収で調整を行うため、ほとんどの給与所得者は自分で確定申告をする必要がありません。これに対して米国では、給与所得者、自家営業者、投資所得のあった人など、収入のあった人は原則としてすべて確定申告書を作成して連邦IRSと州の税務当局の両方に毎年申告期日までに提出しなければなりません。

 源泉課税を基本とする日本の税制とは異なり、米国では給与所得以外の利子、配当、不動産賃貸等の所得も損益通算し確定申告する総合課税方式を採用しています。この方式は、申告する側にとっても、また、その処理を行う連邦及び州政府にとっても時間を要する複雑な手続きですが、納税者が投資内容の選択により税額を操作できるという柔軟性も持ち合わせています。

 このように米国税務は、日本税務以上に複雑なものであるため、専門家に対する継続教育の必要性もまた日本と同様に不可欠のものとなっています。なお、日本の税理士には、更新制度はありませんが、継続教育の制度(罰則なし)は存在します。