税法は、税の納付に関する国と国民との間の法律関係を規律する公法です。国の行う課税処分等は、民事上の法律行為とは異なり、行政処分ですから、行政法の一般理論が適用されます。また、税は、その課税対象が国民の経済活動に求められるものであることから、税法は、他の多くの私法、中でも民法、商法、会社法に大きく関係しています。
法人税法は、企業活動から生まれる所得をその課税対象としているため、商法及び会社法と深い関連があり、収益などについての計算規定で会社法と食い違う部分については、調整が図られています。
法人税法は、納税義務者、課税標準、税率、申告、納付等について5編163条までの条文で以下のように構成されています。
第1編 総則(第1条~第20条)
第2編 内国法人の法人税(第21条~第135条)
第3編 外国法人の法人税(第138条~第147条の4)
第4編 雑則(第148条~第158条)
第5編 罰則(第159条~第163条)
法人税に関する法令は、法人税法以外にも、法律の委任により又はこれを実施するために法人税法施行令(政令)、同法施行規則(省令)があり、これらが一体となって法人税法を形成しています。
さらに、法人税法の特例として、政策的な配慮に基づく課税上の特例が租税特別措置法に設けられ、また、これらの法令の解釈や適用に関して、数多くの取扱通達が国税庁において定められています。なお、この他に各税法に共通な事項は国税通則法に規定されています。
・法人税法ーーーー法人税法施行令(政令)ー法人税法施行規則(省令)
—減価償却資産の耐用年数に関する省令
・租税特別措置法ー租税特別措置法施行令ーー租税特別措置法施行規則
・国税通則法ーーー国税通則法施行令ーーーー国税通則法施行規則
租税特別措置法は、税法の一般的な規定とは別に、特殊な場合の課税制度を定めており、この法律は、経済政策や社会政策上の見地から、一般の税法による課税の場合よりも税負担が軽く、又は重くなるような課税の特例を定めたものです。その中には、直接税だけに限らず、間接税も含まれていますが、主要なものは所得税と法人税の特別措置です。これらの特別措置は、そのほとんどが2年ないし3年の期間に限られたものですが、情勢によってその期間の更新が行われています。
法人税関係の取扱通達としては、法人税基本通達、耐用年数の適用等に関する取扱通達、租税特別措置法関係通達(法人税編)があり、いずれも公表されています。これらの通達は、国税庁長官が国税局長に対し、法人税関係法令の解釈や適用に当たっての取扱いを指示したものです。職員はその取扱いに即して処理することが義務とされていますが、納税者までをも拘束するものではありません。しかし、実務上は、税務当局の解釈や取扱いが確認できること等から、その指針として重視されています。
法人税法は、所得税法と比べて次のような特色があります。
① 所得の計算
所得税法ー所得をその源泉により10種類に区分
ー区分された所得の種類ごとにそれぞれ算出方法を規定
法人税法ー所得の種類を区分せず、所得の算出方法も必要な事項の全てを規定せず
ー相当部分を適正な企業会計の慣行に委ねている
ー会社法や一般に公正妥当な会計処理の基準によって計算した企業利益を前提
② 所得の計算期間
所得税法ー暦年を基準
法人税法—法人が定款等によって定めた会計期間(事業年度)を基準
③ 税率
所得税法ー超過累進税率
法人税法—原則として単一税率
(参考)国税庁 税大講本「税法入門」「法人税法」