贈与税に係る外国税額控除について

 贈与税は、個人からの贈与により財産を取得した者に対して、その取得財産の価額を基に課せられる租税です。

 贈与税の課税価格は、その年1月1日から12月31日までの間に贈与により取得した財産及び贈与により取得したものとみなされる財産の価額の合計額となります(相続税法21の2条)。なお、贈与により取得した財産のうちに非課税財産があるときは、課税価格計算の基礎に算入されません(21の3条)。

 贈与税の税額の計算は、課税価格から、贈与税の「基礎控除」及び「配偶者控除」を控除した後の金額に税率を適用して、納付すべき税額を計算します(21の7条)。

 ここで、贈与税の税額控除として、在外財産に対する贈与税額の控除(外国税額控除)があります(21の8条)。

 同条は、在外財産に対する贈与税額の控除について、「贈与によりこの法律の施行地外にある財産を取得した場合において、当該財産についてその地の法令により贈与税に相当する税が課せられたときは、当該財産を取得した者については、相次相続控除又は相続時精算課税に係る贈与税の税率の規定により計算した金額からその課せられた税額に相当する金額を控除した残額をもつて、その納付すべき贈与税額とする。ただし、その控除すべき金額が、その者についてこれらの規定により計算した金額に当該財産の価額が当該財産を取得した日の属する年分の贈与税の課税価格に算入された財産の価額のうちに占める割合を乗じて計算した金額を超える場合においては、その超える部分の金額については、当該控除をしない。」と規定しています。

 よって、外国税額控除による控除額は、次の1または2のいずれか少ない金額となります。

1.財産の所在地国で課せられた税額

2.贈与税額×分母のうち国外財産の価額÷贈与税の課税価格計算の基礎に算入された財産の価額

 適用要件については、例えば、国内に住所を有する受贈者が、米国在住の父から同地に所在する不動産の贈与を受けた場合、米国は相続税の課税について遺産税体系を採っており、当該贈与については、日本のように受贈者でなく、贈与者である父に贈与税が課せられています。

 同条は、「在外財産に対する贈与税額の控除」として、贈与により国外にある財産を取得した場合に、当該財産につきその国(地)の贈与税に相当する租税が課せられたときには、その財産に係る日本の贈与税額を限度としてその国(地)の贈与税額を控除する旨を定めており、その要件は、受贈者に贈与税が課せられたということではなく、あくまで、贈与財産について贈与税が課せられたということです。

 したがって、日本において受贈者に課せられる贈与税額の計算上、贈与者に課せられる贈与税額(外国税額)であっても、当該外国税額を控除することができます。