法人税法上の寄附金とは、法人が行った金銭その他の資産又は経済的な利益の供与又は無償の贈与をいい、社会通念上の寄付金の概念よりその範囲は広くなっています(37条)。
法人税法上の寄附金は、金銭で贈与した場合には、その金銭の額で計算し、金銭以外の資産の譲渡や経済的な利益の無償の供与の場合には、その贈与や供与の時における時価で計算することとされています(同条7項、8項)。例えば、親子会社間のように特別な関係にある者が時価より低い価額で資産の譲渡を行ったような場合で、ぞの差額が実質的に贈与したと認められるときは、その差額で計算します。
法人が各事業年度において支出した寄附金の額の合計額のうち、その内国法人の当該事業年度終了の時の資本金等の額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を超える部分の金額は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しないとされています(同条1項)。
普通法人に適用される一般の寄附金の損金算入限度額は、次に掲げる①資本金基準額と②所得基準額の合計額の4分の1に相当する金額として計算され、この限度額を超える部分の金額は損金の額に算入されません(法人税法施行令73条1項)。
① 当該事業年度終了の時における資本金等の額(当該資本金等の額が零に満たない場合には、零)を12で除し、これに当該事業年度の月数を乗じて計算した金額の1,000分の2.5に相当する金額
② 当該事業年度の所得の金額の100分の2.5に相当する金額
ここで、法人が資産を高額で譲受けた場合には、低額譲渡と異なり、当該資産の「購入の代価」をどのように評価すべきかについては、法人税法や法人税法施行令に直接の規定は設けられていません。
しかし、東京地裁(令和元年10月18日)は、不動産業を営む法人が他の法人から時価を超える価格で購入した土地を売却し、購入価額全額を売上原価として損金に算入した場合において、法人税法37条7項及び8項の規定の解釈に基づいて、法人が時価よりも高額の売買代金により不動産等の資産を購入した場合も、売買代金と時価との差額は買主たる法人から売主に「供与」された「経済的な利益」であり、そのうち「実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額」は「寄附金の額」に該当することになるので、損金算入限度額を超えて損金の額に算入されないとしています。
そして、当該対価の額と当該資産の時価との差額について、その全部又は一部が「寄附金の額」と評価される場合には、損金の額への算入が制限されることとなり、そのような扱いを受ける当該差額は、当該資産の販売の収益に係る費用として当然に損金の額に算入される「売上原価」とは異質なものといわざるを得ず、「売上原価」とは異なる費用又は損失の額として別途損金該当性を判断すべきものとしています。