2015年
12月
10日
木
社団法人・財団法人に対する寄附金制度(法人税編)
寄附金は何の見返りも期待しない任意の支出です。法人が寄附金を支出した場合には、企業会計上必要な経費として取り扱われます。しかし、寄附金は反対給付を伴わない支出であり、事業関連性に乏しいなど、その損金性が不明であるなどの理由から、法人税法においては、寄附金の損金算入について一定の限度額を設けており、この限度額を超える寄附金については損金不算入としています。
ただし、法人税法では、寄附金は①指定寄附金等(国・地方公共団体等)、②特定公益増進法人等(公益社団法人・公益財団法人等)に対する寄付金、③その他の寄附金の3つの区分に分類され、①と②の寄附金については公共性・公益性が高いため、別途損金算入できる措置が置かれています。
実務上は、期中において寄附をする際に公共性・公益性が高い寄附金か否か、多額の寄付の場合には損金不算入額が生じないかどうかを確認する必要があります。
なお、一般社団法人・一般財団法人に対する寄附は③その他の寄附金として取り扱われますので、別途損金算入される措置はありません。
2015年
11月
10日
火
社団法人・財団法人が受け取る利息・配当の源泉徴収
法人に支払われる利息や配当については、その支払いの際に源泉徴収がなされ、源泉所得税控除後の手取り額が法人に支払われるのが通常です。これらの利息等は法人の益金を構成し、その利息等から源泉徴収される所得税は法人税の前払いとしての性格を有しているため、法人税の申告・納付の際には控除されることになります。
ただし、公益社団法人・公益財団法人は、所得税法の別表第一に掲げられる公共法人等に該当するため、利子や配当について所得税は非課税とされ、源泉徴収されることはありません。ここで、収益事業であるか収益事業以外の事業であるかという点は問題にはなりません。
なお、一般社団法人・一般財団法人は、法人税法上の非営利型法人であるか否かに関わらず、別表第一に掲げる公共法人等には該当しないため、原則通り源泉徴収されることになります。
2015年
10月
10日
土
社団法人・財団法人の消費税
公益法人や非営利型法人でも、基準期間(前々事業年度)における課税売上高が1千万円を超える場合には、普通法人と同様に消費税の課税事業者になります。
ただし、これらの法人は、補助金、交付金、寄付金等の収入の割合が高いことから、この対価性のない収入を原資として課税仕入れを行ったものまで仕入税額控除の対象にすると本来納付すべき消費税より実際に納付する消費税が過少になってしまいます。
そこで、公益法人を含む社団法人や財団法人については、通常の方法により計算される仕入税額控除について調整を行い、補助金等の対価性のない収入(特定収入)により賄われる課税仕入れ等に係る税額について、仕入税額控除の対象から除外することとしています。
2015年
9月
10日
木
社団法人・財団法人の法人税
法人税の納税義務がある法人(収益事業を実施している公益法人等)については、原則として、事業年度終了の日の翌日から2か月以内に確定申告書を納税地の所轄税務署長に対して提出するとともに、法人税を納付しなければなりません。
公益社団法人、公益財団法人、非営利型法人は、収益事業を実施していない場合には、原則的には、確定申告義務はありません。ただし、年間の収入金額の合計額が8千万円以下の場合を除き、原則として事業年度終了の日の翌日から4か月以内に、その事業年度の損益計算書または収支計算書を、主たる事務所の所在地の所轄税務署長に提出しなければならないことに注意が必要です。
2015年
8月
10日
月
社団法人・財団法人の優遇税制
公益社団法人・公益財団法人に対しては、公益目的事業以外の事業について税法上の収益事業に課税が適用されます。一方、一般社団法人・一般財団法人に対しては、「非営利型法人」に該当する場合を除いて、原則としてすべての所得が課税対象となります。
また、印紙税や固定資産税等については、一定の事由に該当する場合には非課税措置があります。
このような優遇税制が設けられている事由は、公益法人が本来的に行う公益を目的とする事業、すなわち公益事業の助成、保護、育成を図るところにあります。
2015年
7月
10日
金
社団法人・財団法人の税法上の区分
公益社団法人・公益財団法人とは、行政庁から公益認定を受けたものをいい、法人税法上、公益法人等として取り扱われます。
公益認定を受けていない一般社団法人・一般財団法人は、非営利型法人または非営利型法人以外の法人の2つに区分されます。(下図:国税庁ホームページより)
2015年
6月
10日
水
株式会社と社団法人・財団法人の違い
株式会社と社団法人・財団法人は、法に抵触する事業や反社会的な事業ではなければ、事業に制約はなく、活動面(事業面)からするとあまり違いはありません。社団法人・財団法人は公益的な事業しかできないと考えている方が多いですが、株式会社などの営利法人と同様の私的利益を追求する活動をしても何の問題もありません。
株式会社との決定的な違いは、利益の分配(剰余金の分配)の面です。株式会社では利益が出た場合は株主(出資者)に配当として利益を分配しますが、社団法人・財団法人は非営利の法人ですのでこの利益配当ということができません。
この点、資金調達という点では出資者に配当できる株式会社が有利で、わざわざ社団法人・財団法人を設立する意味はほとんどないといっていいでしょう。事業が小規模なうちはどちらでも大きな違いはないでしょうが、規模を拡大するときには株式会社に限ります。
ただし、社団法人・財団法人は、公益法人化や非営利型法人にすることで、課税が収益事業に限定されるというメリットがあります。
2015年
5月
10日
日
一般社団法人・一般財団法人とは?
「社団」とは、人の集合体で団体としての組織があるものです。人の集合体である「社団」に法人格を付与したものが「一般社団法人」です。
これに対して、「財団」とは、一定の目的のもとに結合された財産の集合体のことです。
300万円以上の価額の財産の集合体である「財団」に法人格を付与したものが「一般財団法人」です。
非営利団体が簡単に法人格を取得できるのが一般社団・財団法人の利点で、例えば町内会、同窓会、サークルなど共益的な活動をする組織に向いています。ここでいう非営利とは、株式会社のように剰余金の分配を目的としないということを指します。